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リテールメディア拡大の鍵は「効果測定」の確立にアリ 食品メーカーの意識・実態調査

「小売の未来を一緒に考える」をテーマに、リテールメディアに関わる取り組みを小売・食品業界のキーマンの方々とともに考えるコミュニティメディア「みんなのリテールDX」。様々なキーマンを取り上げ、先進的な取り組みを紹介してきましたが、今回は食品メーカーの方々に「リテールメディア」に関する意識・実態調査を実施。そこで見えてきたことをご紹介します。

調査名:「食品メーカーの広告マーケティングに関する意識・実態調査」
調査期間:2024年9月5日~9月20日
調査方法:Googleフォームアンケート
調査対象:食品メーカー
有効回答数:79社

リテールメディアに出稿したきっかけ

まず、広告マーケティング施策として、実施したことのある媒体を聞きました。実施経験の割合が最も高かったのが、「SNS広告」で75%でした。次点で、「テレビCM」が67%、YouTubeやTVerに出稿する「動画広告」が63%と続きました。

リテールメディアへ出稿経験があるのは、41%と半数には届かず。しかし、リテールメディアに出稿している企業では、種別問わず広告実施を行ったことのある企業が多いことが分かりました。広告施策に積極的な企業が、試しているフェーズと捉えることができそうです。

では、どのようなきっかけで、リテールメディアへの出稿を始めた企業が多いのでしょうか?

取り組み動機で最も多かった理由は、小売企業様との「取り組み強化」で43%にのぼりました。次点は「売上拡大」で、27%でした。

一部の企業からは、広告価値の高さを感じている声や、棚強化・売り場との連携など、店頭を見据えてリテールメディアを出稿するという意見もありました。

リテールメディアには、ECサイトやアプリ内に表示されるオンライン広告、店頭でのサイネージ広告などがありますが、前者であれば生活者がどこにいても、スマホやPCを触っていれば、リテールメディアに接触する可能性があります。
「クーポンが配られたので、買い物に行こう!」「そういえばこの商品、アプリで見たことがある」など、店頭での販売促進や、認知拡大につながりそうです。

なお、半数の企業がリテール施策を2つ以上実施したことがあり、3割の企業が3つ以上実施したことがあるという結果でした。種別では、店頭でのサイネージ広告が56%と最も高く、次いでクーポンやポイント還元などのデジタル販促が49%、オウンド(アプリ・メディア)内広告が35%となりました。

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約4割が販売インパクト向上に期待している

リテールメディアに期待する効果や検証項目について聞いたところ、全体の約4割が「購買意欲を向上させること」「直接購買につながること」「売り場や棚の獲得につながること」など、販売にインパクトがある効果を期待していることが分かりました。

認知や興味喚起、ターゲットにリーチできることも次点に続き、いわゆるマスメディアで期待されるような効果も、求められていることが分かりました。

ただし、極端に回答が偏っていなかったことから、期待している効果の幅が広く、リテールメディアとしての一般的な指標がまだ定まっていないことも推測されます。

効果測定がリテールメディア拡大の鍵に

今後リテールメディア施策を企業として増やしていきたいかといった今後の意向についての設問に関しては、「いいサービスがあれば取り組んでいく」「どちらともいえない」と回答した企業は、合わせて約80%と、ほとんどの企業がまだ様子見をしている段階と推察できます。

では、どのような課題が解決できれば、リテールメディアを有効活用できると考えるのでしょうか?大きく2つの課題が挙げられます。

1つ目は、費用計上部門が未確定なこと。リテールメディア施策を実施したことがある企業でも、「施策ごとによって変わる、又は決まっていない」と回答した企業が約4割にのぼりました。また、営業部門と、宣伝・マーケティング部門では、やや後者が計上部門になる企業が多いことが分かりました。

どの部分が予算を持つのかが明確になっていなければ、実施判断を下すことも難しいでしょう。

そして、約4割から「効果や検証項目が期待している内容と比較して不十分である」という回答が得られました。次いで、「メディアとしてのパワーがまだ小さい」が2割強でした。

効果測定に対する納得性は、重要な課題のようです。マスマーケティングの側面も、限定的なターゲットへ訴求するセグメントマーケティングの側面もあるリテールメディア。求める効果に合わせたリテールメディアへ出稿し、適したコンテンツが作成でき、効果測定の方法が確立できれば、少しずつ広がっていくと期待できそうです。

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この記事を書いたのは
サリー
趣味はお笑いと音楽のライブに行くこと。個人的通年の流行語は「抽選の結果チケットをご用意することができませんでした」。