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商品の魅力を伝える漫画コンテンツと店頭連携で購買率5倍に!赤城乳業のリテールメディアへの挑戦

「ガリガリ君」でおなじみ、アイスクリーム・氷菓を製造・販売する赤城乳業株式会社(本社:埼玉県深谷市)。同社では、ガリガリ君以外の商品販促のために、リテールメディアに取り組んでいます。

今回はなぜリテールメディアに取り組んだのか、施策を通して得られた効果などを聞きました。

赤城乳業株式会社 首都圏支店 大島誠二郎さん

大島 誠二郎
赤城乳業株式会社 営業本部 営業部 首都圏支店 係長
2009年当社に入社。初任地の福岡。その後全国各地の転勤で広域、北海道、横浜を経て現在の首都圏支店へ。各エリア赴任地にて商魂について流通業の皆さまからご指導いただく。2021年から日本アクセス様担当としてD&Sソリューションズと取引開始。現在もリテールメディアについて日々勉強をし、社内の自称DX部長を目指して邁進中。


コロナ禍で販促できないもどかしさ

赤城乳業は、アイスクリームや氷菓などを販売・製造している会社です。競合他社には大手企業が多く、中小企業の同社は、広告や販促にあまり予算がかけられないという悩みを抱えていました。

多くの人の目に触れるテレビCMは、大きな予算がかかってしまいます。そのため、インパクト重視の構成で、看板商品のガリガリ君を押し出すおもしろCMを作成し、放映していました。

ガリガリ君以外も多様な商品を作っている同社。それらの商品はCMなど広告にはあまり予算をかけず、販促活動を中心に行っていました。店舗のアイス売り場活動では、POPなどの装飾を行ったり、プロモーションとして試食販売等の店頭企画を実施したり、消費者に寄り添う形でアピールすることがほとんどでした。

しかし、新型コロナウイルス禍で、売り場での販促が制限されることに。「非接触が求められるようになったため、抽選くじなどを通して、お客様に直接商品の良さを伝えることが難しくなりました」と、当時、歯痒い思いをしたという大島さん。

そんなとき、大手スーパーなどがリテールメディアに取り組んでいると知ります。業界として取り入れているメーカーが少なかったこと、同社では新しいことに挑戦することに対して前向きだったこともあり、リテールメディアでの取り組みを決めたそうです。

商品の魅力をストーリーで伝える「漫画」

リテールメディアでの取り組み第一弾として、クリーム系のアイス「フロリダサンデー」の購買を促進するコンテンツを作成し、一括配信しました。


フロリダサンデー ブルーベリー(カップ)

配信先はLINEミニアプリや自社のチラシ掲載面。それぞれスマホで見られるリテールメディアです。

配信コンテンツのジャンルは、ずばり「漫画」。フロリダサンデーはどのような商品なのか、どのような味・特徴があるのか、名前の由来など、フロリダサンデーにまつわるエピソードが漫画としてまとめられました。

22コマの漫画は縦読みで、イラストも相まって、文章で読むより楽しく理解できる構成になっています。

コンテンツ作りには、大島さんも参加。「営業部として小売業様のバイヤー様向けの資料で使っていたフレーズ『クリーム3兄弟』を、漫画の中でも使ってもらいました。漫画を読んだ消費者に刺さっただけでなく、これまで営業部だけの共通フレーズだったのが、社内の共通フレーズになりました」

同社では、CMなどいわゆるBtoCの販促活動はマーケティング部が、BtoBのアプローチは営業部が担っていました。今回はその枠を超えて、マーケティング部と営業部が一緒に取り組んだといいます。

「マーケティング部と営業部では、売り込みたい側面が異なります。マクロで捉えているマーケ部と、ミクロを知っている営業部では、そもそも見ているものが異なるので当たり前です。一緒に取り組むことで、それぞれの良さが反映できたと思います」

配信した「謎のクリーム3兄弟とは!」と題した漫画コンテンツ

リテールメディアと店頭連動で、購買率は5.2倍に

コンテンツ配信によって、フロリダサンデーの購買に結びついています。コンテンツを閲覧した人は、閲覧していない人と比べて購買率が15.4倍になりました。

また、LINEミニアプリで配信している企画を店頭においても連動して実施したとき、店頭連動していない場合と比べ、購買率は5.2倍になりました。

例えば、ある小売企業様では、コンテンツ配信に合わせて、ポイントバックを実施。これが功を奏しました。

「売り場とアプリの連携は新鮮なものでした。この成功例は、社内での評判も良く、別商品でも同じようなことができないのか、検討しています」

同社ではこれまで、ID-POSを分析するなど、1つの商品に対して細かく分析できていなかったといいます。「各小売店舗で赤城乳業製品がどれほど売れたかは把握していますが、商品単位での詳細分析まではできていませんでした。また、どの販促やキャンペーンが購買率アップに寄与したのか、現場でなんとなく感じることはありましたが、今回の施策で数字(データ)としてしっかり記録が取れました。上司や別の部署、小売業のバイヤー様へ示す客観的指標を手に入れられました」

「商品の良さ」を客観的に再認識

漫画コンテンツの下には、アンケートがあります。そこでは、記事の印象に残った部分を聞いたり、アイスに求めるものを聞いたりしています。アンケートを取ることで、今後どのような記事を作成すればいいのか、訴求内容はどういったものが刺さるのかを検討する材料になったといいます。

「漫画を読んでもらった人には、商品の良さが伝わっていると確信を持てました。それだけでなく、(リテールメディアは)一人ひとりにメーカーが持っている思いを伝えるツールなのかなと感じました」

今回の漫画作成には、営業チームとマーケチームが意見を出し合いながらD&Sと共に作成したそう。社内だけでコンテンツを作るのではなく、第三者が入る良さを感じたと大島さんは話します。

「長年ひたむきに商品を作ってきたからこそ、商品の良さがどこにあるのか、客観的に見ることができなくなっていると感じました。また、開発部はAというポイント、マーケ部はB、営業部はCというように、社内でも推したいポイントが異なっていました」

企業が押し出したい商品の良さと、消費者が感じる商品の良さが一致していれば問題ないですが、ズレてしまっていては、消費者に選ばれる商品にはなりにくいでしょう。

「D&Sさんと一緒に作成できたことで、改めて商品の良さを認知できました。コンテンツとして具現化したことで、社内でも商品の良さはどこなのか共有することができました。社内で共通認識が生まれたことで、大きな齟齬がなく外部へも発信していくことができると考えます」

販促の効果だけでなく、コンテンツとして具現化することで社内での共通言語を得ることにも成功した赤城乳業のリテールメディアの取り組み。商品に寄り添った販促が展開できるため、ただ商品を購入するのではなく、商品の魅力を知った上で購入してもらえる機会を創出できています。

リテールメディアに取り組むことで、購買率の向上に寄与した上に、コンテンツの作成を通して社内で商品の魅力について改めて考える機会を得られた赤城乳業さん。自社の強みを見つけるよい機会になったのではと感じました。

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この記事を書いたのは
サリー
趣味はお笑いと音楽のライブに行くこと。個人的通年の流行語は「抽選の結果チケットをご用意することができませんでした」。