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商品部の視点から考える静鉄ストアのDX戦略【前編】

こんにちは、みんなのリテールDXの望月(大)です。
株式会社静鉄ストアは静岡で「しずてつストア」を31店舗展開するスーパーマーケットです。現在「LINEミニアプリ」の活用を中心に、積極的に取り組まれている株式会社静鉄ストアのリテールDX事例について、株式会社静鉄ストア 商品部部長の鈴木秀和さんにお話を伺いました。

鈴木 秀和 氏(株式会社静鉄ストア 商品部部長)
静鉄ストアにて、商品部のバイヤーを経験後、営業企画部 部長として静鉄ストアのDXを主導し、お客様の体験価値向上に向け様々なデジタル施策やLINEミニアプリの導入を推進。2022年度からは商品部の部長を務める。

これまでの経験で商品部で活かせるDX視点について

現在商品部の部長である鈴木秀和さんは株式会社静鉄ストア入社後、商品部のバイヤーを経験し、その後営業企画部長を経て、2022年より商品部部長に就任されています。

マーケティング部門である営業企画部から、2022年より商品部の部長となり、営業企画部時代に培った経験をいま商品部ではどう活かされているのでしょうか。

鈴木部長は「商品バイヤー時代に持っていた視点と営業企画時代に持っていた視点でいうと、目線がそもそも違っていた」と言います。

たとえば商品部のバイヤーの場合は、商品部の部門売り上げと利益をあげるところに着眼を置くため、メーカーとの交渉も、当然バイヤーの視点としては商品部門の売り上げを最大化することを考えます。

一方で営業企画の場合は、会社全体の視点に立って、売る商品をどういう形でお客様にアプローチしていくかを考えるため、その視点が商品部のバイヤー視点とは一番異なる部分になります。

ここからがさらにDXにも関わってくる部分になります。当然会社としては顧客視点に立って商品を選ばないといけないところですが、バイヤー視点では商品を売りたい思いが先行してしまうことがまま起こりえます。

静鉄ストアが導入しているD&S提供のLINEミニアプリで言えば、アプリを登録している会員の分析を通して、実際に会員にとって良い商品・情報が、アプリ会員に与えられなければいけません。

iOS の画像 (7)

<しずてつストアLINEミニアプリ画面>

鈴木部長「アプリ会員に提供する商品と情報の基準をちゃんと考えていかないと、お客様にとって本来は最適ではない商品・情報を選んでるかもしれません。そのずれの修正を考える視点は、バイヤーだった時期にはありませんでした」

つまり鈴木部長は1バイヤーだった視点が、営業企画部での経験を経て、会社視点・全体視点・顧客視点に変わっていきました。営業企画部を経て商品部の部長になった現在は、視点がより全体軸になり、会社としてお客様の体験価値を上げるために、どんな商品を扱うかを考えるようになったと言います。

静鉄ストアのDX戦略はまだ前半戦

静鉄ストア_店舗外観

現在「しずてつストア」でお買い物をされているお客様は月間約22万人いますが、LINEミニアプリ会員は6月末時点で約5万5千人です。そのLINEミニアプリでの企画の閲覧数や購買率、参加人数を見た場合、たとえば会員数だけを見ると、当然バイヤーとメーカーの企画は22万人の会員全体に届けたいので、アプリ会員にのみ特典を付与することを嫌がる可能性があると言います。

そこで鈴木部長は「メーカー様に対しては、今だからこそLINEミニアプリに取組んだほうがいいと話すことが多い」と。

たとえばLINEミニアプリを見ているアプリ会員の傾向や特徴、さらに購買を調べていくと、たとえば「しずてつストア」の上位顧客に行き着きます。今後さらにLINEミニアプリの会員数が伸び、データが集まってくることで、最終的には商品を売る購買率も変わっていきます。

静鉄ストアをご利用いただいているお客様の人数からすると、LINEミニアプリの会員数はまだ多くなく、長期的な視点で考えると、「しずてつストア」のLINEミニアプリ会員数とそれに伴うDXもまだまだ前半戦です。現在商品部内ではデータを集めるためにさらに強い企画で、絶えずLINEミニアプリ内の効果検証を行っています。

今後「しずてつストア」のLINEミニアプリ会員数が伸び、アプリ内でより精緻な分析ができるようになると、お客様の交通整理も必要になります。ただ、購買分析に重きを置くバイヤーとそうではないバイヤーでは対応は変わってくるようです。

鈴木部長「僕はLINEミニアプリの商品分析が気になる人間です。LINEミニアプリの良い部分は、アプリ会員が商品を買った時、いくつかの購買パターンがどのルートで購入されたか分かり、購買の入口と出口、コンテンツに至ったところも分析できます。アプリからの情報で出来る分析は資産です」

LINEミニアプリには2つの側面があり、顧客をさらに集めるための手段として企画が必要な場合と、顧客を集めたことによって企画が活きるサイクルになることもあります。また、会員数が増えることで、よりターゲットを絞った顧客販促も可能になります。

DXによるデジタル化で商品部視点で出来ることが増えてきた

現在商品部ではDXをどんな視点で捉えていますか?

鈴木部長「皆さん言われるように、DXについてはデジタル化だけでは意味がありません。ただDXによるデジタル化で商品部視点で出来ることが増えました。今までも顧客の購買分析は実施していますが、顧客のルート、つまりしずてつストアの購買層の、いわゆるジャーニー分析と呼ばれる分析は出来ていませんでした」

そのため、しずてつストアでは購買した結果に対しての分析は出来ていましたが、購買に至った経緯の分析がこれまでは出来ていない状況でした。

これからの商品部視点のDXであれば、たとえばLINEミニアプリ内で「あるコンテンツ」を読んだ人は「こんな傾向や特徴が高かった」であるとか、「あるルートから入ってこのコンテンツに行き着いた人については購買率が高かった」会員に対して、経済的価値を与えた施策の方が良かったと判断できます。これからのDX施策の進化により、ターゲットを絞り、より効果的なコンテンツ配信を行える可能性があります。

これまで静鉄ストア側がメーカー様に対して行う施策提案では、アプリは提案の中のあくまで「1つ」として「別」に存在するだけでした。今後はLINEミニアプリを用い、顧客の入り口から出口まで一貫した提案が出来ると鈴木部長は考えています。

鈴木部長「顧客のジャーニー分析の提案の中で、施策としてアプリが必要な時もあるだろうし、その他のコンテンツとアプリが必要な時もあると思います。そういった提案で1つ商品を売るとき、LINEミニアプリの施策はそれ単体ではなく、全体の流れとして取り組みたい」

【後編】へ続く

最後までお読みいただきありがとうございました!
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この記事を書いたのは・・・
望月(大)
メディア側も広報側の視点も知っている男。個人でメディア「まえとあと」も運営している。

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