“メディア化”するウォルマート。小売で広がるリテールメディアの可能性は?
こんにちは、みんなのリテールDX編集部のユウキです。今回は、海外の小売業界で起こっているDX事例を紹介します。
これまでBOPISやモバイルアプリ、サブスクリプションサービスの導入が度々話題になってきたアメリカの小売大手・ウォルマート。同社がかねてから取り組んできたメディア化戦略が、結果へとつながり始めています。
“メディア化”する米小売大手のウォルマート
「ウォルマートがメディアとしての影響力を強めている。」そう報じたのは、米・ニューヨークに本社を置く市場調査会社のeMarketer。同社によると、米国内のデジタルリテールメディア市場において、ウォルマートがAmazonに次ぐ2位までシェアを伸ばしているそうです。
注目すべきは2019年から2023年(予測)までのシェア率の推移で、1位のAmazon、3位のInstacartがほぼ横ばいであるのに対し、ウォルマートは3.5%から7.0%に倍増しています。この勢いのまま成長を続ければ、Amazon1強だった同市場の勢力図が変わる可能性がありそうです。
いったいなぜ、ウォルマートはメディアとして急成長を遂げているのでしょうか。その背景には、近年ウォルマートが力を入れる広告戦略「Walmart Connect」の存在があります。
Walmart Connectとは?
Walmart Connect(ウォルマート・コネクト)は、ウォルマートが新たに始めた広告プラットフォーム事業です。2021年1月、同社はデジタル広告を扱う部門を「Walmart Connect」として再編し、取り組みを強化する方針を発表しました。このプロジェクトでは、メーカーなどの取引先に対し、店舗やウェブサイトを通じて、デジタル広告やその掲示場所を提供します。ウォルマートでは2021年以前もこうしたメディアを用意していましたが、Walmart Connectの立ち上げにともない、広告スペースを拡張。あわせて、社内で抱える購買データを企業側に共有することで、より合理的な広告出稿が可能になる仕組みを打ち出しました。
これまでアウトソースしていた広告事業を内製化する裏には、広がるテック企業への規制強化があると言われています。米・Googleは2024年後半より順次、ブラウザ「Google Chrome」での広告表示に重要な意味を持つ「サードパーティークッキー*1」と呼ばれる技術の利用を停止する方針を明らかにしています。これにより、第三者企業による「リターゲティング広告*2」が不可能となると、それ以前に比べ、広告の効率が悪化する見通しであるとのこと。米国内では、こうした動きに対応するため、顧客の閲覧データなどを自社で管理する動きが活発化しています。
ウォルマートをはじめとした海外小売のメディア化は日本の小売の新たなモデルケースになっていくのか
ウォルマートは上述の発表のなかで、5年以内に米国の広告プラットフォーム上位10社を目指すとしています。今後はGAFAの一角であり、小売業界のライバルでもあるAmazonとの競争が激化していきそうです。
小売の分野で成長を遂げてきたウォルマートが掲げるメディア化戦略。
この動きは大手小売企業の話にとどまらないのか、また、米国だけでなく日本の小売業界でも起こりうるものなのか、などみんなのリテールDXでは今後もその動向を追い続け、小売業界における情報活用やリテールメディアのあり方を深掘りしていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
引き続き、みんなのリテールDXをチェックしていただけると嬉しいです!
みんなのリテールDXでは、こちらのnoteの他にも、各種公式SNS( Twitter / Facebook )でも更新情報を配信していますので、ぜひアカウントフォローをお願いします!